陰に眠る旅人は夢を見る。【赤】

 2009-11-10投稿
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悲しげに僕をみつめる君は、何を思っていたのだろう?

『赤色が好きです。』
いつだっただろうか、僕は嘘をついた。
本当はどの色にも、興味すらないのに、そのとき浮かんだ林檎の色の赤が好きと嘘をついた。

本当にそれは、ちっぽけでどうしようもない嘘だったけど、そこからだ

戻れなくなったのは。

嘘を嘘で塗り固めた道に、花など咲やしない。

僕は消えるしかないんだ。

僕は、虚げな眼で空があるべき場所を見上げた。
でも、そこにあったのは、赤色だけだった。

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