数日後慶太郎と猛は
ライブハウスにいた
「こんなとこ初めてやあ!
わくわくすんな!!」
「うん」
ステージでは別のバンドが
演奏を終えたところだった。
達也のバンドは次だ。
やがて照明が消え
人影がステージに見えた。
「それで、達也君は
何の楽器やっけ」
「ドラムや」
照明がぱっとつき
歓声があがる。
さっきまでのバンドとは
圧倒的に人気が違う。
「なんか…すでに
ファンがおるんやな!!」
慶太郎はまっすぐに
ドラムを見つめていた。
一人で隣で騒いでいる猛の声も
周りの騒がしい歓声も
全く耳に入らない。
慶太郎の目には
ドラムしか映っていなかった。
「…すげー」
バンドの音を支える
安定したバスドラム
鋭いビートを刻むハイハット
スネアは高らかに鳴り響く
「すっげー!
慶太、見た!?見た!?
今のダダダーってやつ!
ダダダーやで!ダダダー!!
めっちゃ動きはやいー!!
すごいー!すごいー!
かっこいーなっ」
慶太郎の隣で
猛は楽しそうに
はしゃぐ
慶太郎はただ衝撃を受けて
何も言葉が出なかった