――海の島 リル島の港街
「おい!海賊だ!!
今港に海賊船が…」
「なんだって?」
真っ青な空の下
白い壁に
オレンジの屋根の家が並び
白い石がひかれた道
港には船が
いくつも浮かんでいる。
その中に一際大きく
派手な船――海賊船が
港にとめられた。
人々はその船を恐れながら
眺めていた。
だが、誰一人海賊はでてこない
「あれは本当に海賊船か?」
「あの旗を見ろ!
今までに何度も
この街を襲った
カナロア海賊団だ!」
「おいっ!誰か出てきたぞ」
やがて船から一人の男が
出てきた。
「はあーやっと地上に
降り立てれた。
まったく海は広いなあ」
長い赤い髪は後ろでまとめられ
両耳のピアスが
太陽に反射して光っている。
男はまったく
周りの視線には気付かず
すたすたと人々の間を
歩いて行く
「とりあえず腹が減ったなー」
「なあ、あいつは本当に
海賊か…?」
「さあ…?
でも街を襲う気はないようだ」
「他の奴らは出てこないのか」
男はやはり
物陰から様子を伺う
街の人々を気にせず
街の中へ入っていった