達也が水無月家に来てから早一週間が過ぎた。
始めはかなり苦しかった修行も今では少し楽になったほうだ。
彩音
「よし!今日はここまでだ」
達也
「あ、ありがとう…ございました」
彩音師匠はそう言うと道場から出て行った。
師匠が出て行った後、僕はトイレへと駆け込んだ。
トイレに着くとお腹から込み上げてくる物を吐き出した。
達也
「ゲホッ!ゲホッ!………はぁ……はぁ……」
ヒビキ
『大丈夫?達也』
ヒビキが心配そうに僕を見ながらそう言った。
僕は‘大丈夫,と言いながら裕也の言葉を思い出していた。
‘吐くことも慣れる,……今頃になって裕也が言っていた事がわかってきた気がする。
達也
(これは……本当に吐く事が慣れそう……)
そう思いながら僕は部屋へと戻った。
部屋には先に修行を終わらせた裕也がいた。
裕也
「おかえり、その様子だとまたか?」
達也
「………うん」
裕也
「ま、あと一週間なんだ頑張れよ!」
達也
「あの修行をあと一週間……か」
ここで修行の内容を説明をしよう。
まず早朝5時に起床、そのあと両手両足に重りを付けて、山を登る。
帰って来てからはもっぱら剣術と体術の鍛練を夕方までやることがこの一週間やったことである。
裕也
「そろそろ夕飯の時間だ。行くぞ、達也」
達也
「うん」
僕はそう返事をすると服を着替えて和室へと向かった。
水無月家・和室
彩音
「そうだ、達也。
おまえに言っておかないといけないことがあった」
達也
「なんです?」
夕飯を食べながら彩音師匠は僕に話しかけてきた。
彩音
「明後日に強化合宿に行ってこい」
達也
「……強化合宿?」
彩音
「簡単に言えば、名家の弟子たちが集まってお互いを磨くって感じだな。
家によって剣術は違うからな」
達也
「なるほど」
彩音
「今年は達也と柚姫、ついでに裕也も行ってこい」
裕也はその言葉を聞き、飲んでいたお茶を吹き出した。
裕也
「ちょっ!どういう事ですか!」
彩音
「黙れ、お前に拒否権はない」
このあと裕也は師匠にいろいろ抗議したようだが取り合ってもらえなかったらしい。