翌日 水無月家・道場
彩音
「じゃあ今日もまず‘気,の構築から始めようか」
達也
「……はい」
そう言うと僕は目を閉じて意識を集中させた。
すると体全体が気の膜で覆われた。
師匠が言うには飲み込みが早いらしく普通の人族なら半年やっても出来る奴は少ないという。
まぁ、僕はファクターっていうのも関係してるらしいけど。
彩音
「気の構築は出来ているな。
飲み込みが早くて助かる」
達也
「いえいえ」
彩音
「さて、気の構築もできたところで外に行くぞ」
そう言う師匠に連れられ僕は外に出た。
外には裕也と柚姫が待っており柚姫の手には二本の刀が握られていた。
達也
「なにするんですか?」
彩音
「模擬戦だ。ちなみに達也と裕也、柚姫の三人対私とな」
達也
「はい!?」
僕は唖然としながら師匠を見た。そこに柚姫がやって来た。
柚姫
「どうぞ、達也さん」
そう言うと柚姫は二本持っているうちの一本を僕に渡した。
その刀を鞘から少し抜くと黒く輝く鋼の刃がそこにはあった。間違いなく真剣である。
正直、これには僕も驚いた。
彩音
「水無月流・八番刀、影月だ。私が打った刀…お前にやろう」
達也
「えっ……いいんですか?
まだ免許皆伝とかしてないのに……」
彩音
「私の判断だ。お前ならそれを使いこなせるはずだと私は信じている」
そう言うと師匠は片目でウインクして答えた。
そこにヒビキが話しかけてきた。
ヒビキ
『よかったね、達也!』
達也
「……うん!」
彩音
「さてと……そろそろ始めるとしようか…三人とも」
師匠がそう言うと裕也が近付いてきた。
裕也
「軽くミーティングするぞ。
まず達也と柚姫は前衛、俺は後衛をやる。
ま、状況次第では俺も前衛に回るから…そこんとこよろしく」
ヒビキ
『銃で戦うの?』
裕也
「ああ。銃ぐらいでやられないだろ、あの人は」
それはごもっともだ。
僕は心でそう思いながら師匠を一瞥した。
すると師匠も愛刀を持ちながらこう言った。
彩音
「話は済んだか?
では……始めよう。
全力で掛かってこい!!」
かくして師匠との模擬戦が始まった。