裕也
「なんの!!」
裕也は振り上げてきた刀をシルバーダガーに付いているナイフで滑るように受け流した。
しかしそれを予測していた師匠は裕也の腹に強烈な蹴りを入れたのだ。
裕也
「がっ…!!」
達也
「裕也ッ!!」
僕は吹き飛ばされた裕也を受け止めると柚姫もこちらへとやって来た。
柚姫
「大丈夫ッ!?裕也!」
裕也
「なんとか……な」
彩音
「その程度か?三人とも?」
そう余裕な表情でこちらを見ている師匠は愛刀を構えて言った。
柚姫
「どうします?このままじゃ……」
達也
「どうするって………」
裕也
「………賭けだが…勝てる方法が一つだけある」
達也&柚姫
「えっ?」
そう言う裕也に僕たちは耳を疑った。
しかし裕也の表情には、嘘は言っていないように思えた。
裕也
「いいか……これは一度っきりしか使えないから、よく聞け。
まず俺と柚姫が師匠の動きを止める……その隙に達也、お前が師匠に動きの速い‘弐ノ型,で仕留めろ」
ヒビキ
『そんなんで大丈夫なの?』
ヒビキは不安げな顔で裕也に問い掛けた。
裕也
「今、師匠は第一目標に俺、第二に柚姫、第三に達也ってなっている。
つまり第一と第二が同時に攻めたら必ず第三の達也は師匠の視界から消える……
そこを達也が攻めるってわけだ」
柚姫
「そうなると重要なのはタイミングですね」
柚姫は付け加わるように言った。
確かに……例え裕也と柚姫が攻撃を加えても、僕が飛び出すタイミングを間違えれば、この賭けは水の泡になってしまう。
しかし裕也はニヤリと笑って僕のほうを見てきた。
裕也
「その点なら大丈夫だ。
一人、適任がいる」
そう言うと裕也は僕の後ろに辺りを見て言った。
ヒビキ
『えっ……えっ!…私!?』
裕也
「そうだ、任せるぜ!ヒビキ」
ヒビキ
『うーん………わ、わかったよ……やるよ』
裕也の気迫に負け、しぶしぶその役割に着いた。
裕也
「さーて、行くとするか!柚姫!!」
柚姫
「了解です!!」
その掛け声と同時に裕也と柚姫は師匠に向かって行った。