溺れる魚 最終話

ゆう  2009-11-11投稿
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新に抱きしめられ、あの頃に戻ったような気がしていた…。


私も、新を抱きしめる。



しばらくして、お互いに手を離す。

「ごめん…つい…」
俯き気味に新が言う。

「ううん。嬉しいよ…」私は新に優しく応える。


「真理さん、結婚したんだってね。お母さんから聞いたよ。おめでとうございます」

新におめでとう言われるのは、なんか複雑な気持ちだ。

「ありがとう。今、子供も2人いるの」


雨が、だんだんと強く降り出していた。


「正直…」
新は私から目をそらして言葉を続けた。

「それを聞いた時、ショックだった。俺は真理さんとの約束を支えに頑張ってたから…」

「私だって…そうよ」

「でも、よかった…真理さんが幸せになってるなら…」

「新…は?」

新はふっと笑顔をみせる。
「6つ上の彼女がいるよ」



「年上が好きね」

二人で笑った。



「新、今、幸せ?」



「うん。今、幸せだよ」



今、この瞬間が、私たちの本当の別れ。




いつの間にか雨はあがり、空には虹が架かった。


END



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