「だから、俺はどうしても
夢を叶えたいって
それだけ信じてきた。
夢を叶えるためやからって、
ずっとそう思ってたから
俺は道もそれんとやってこれた。
ええか、慶太郎。
人は強い信念があればな、
まっすぐ進めるんや。」
達也はまた慶太郎の頭を
ぽんと叩いた。
「でもな、あんなんでも
あの人は俺の父親やから。
親父がおるから今の俺がおって
夢も見れる。
そして、もうすぐ
この夢も叶いそうやしな!」
達也が嬉しそうに笑うので
慶太郎も同じように笑った。
「そうやっ!
未来の有名人になる俺から
お前にサインをやろう!!」
「…?」
達也は得意気に笑いながら
慶太郎が握っていた
スティックを受け取り
黒のペンでさらさらと
書き出した
「ほらっどうや!」
達也は得意気に笑って
慶太郎にスティックを
差しだした。
「…達兄、夢叶えてな」
「なんや、急に」
「いや、そしたら
このスティック、
売れるかな…と」
慶太郎は悪戯に笑ってみせた
「ほんまにお前は」
達也は慶太郎の髪を
いつものようにくしゃくしゃにし
笑った。
慶太郎も笑った。
達也の夢が叶うのを
心から願って