recall project #26

ERROR  2009-11-12投稿
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「えー、もう12時15分ですか……」
先生が小さな声で呟いた。しかしその声は俺の耳に届いた。俺は、耳は甚だよいのである。
「じゃあ30分まで休憩とします。時間になったら席に着いていてください。」
その声と同時に周囲は少し騒がしくなる。そして霧島がこっちを見てくる。「行くぞ。」そんなことを伝えようとしているのか。
俺は霧島の席へ向かう。
「霧島、行くか?」
「よし、行こうぜ!」
俺達は宮垣先生の元へと向かった。
「ん?君達、どうしたんだい?」
先生が俺達に気付くと、霧島がまず言った。
「先生、俺の制服、見て下さい、下の方。」
先生は視線を下げ、そして微笑した。
「ああ〜、また派手にやっちゃったね。確か君達はすごかったからね、昨日。」
俺は先生の言葉に少しムカつきながらこう言った。
「いや、そういうことじゃなくて、先生。昨日制服汚れないって言ったじゃないですか。これ、なんですか?嘘ついたんですか?」
「あぁ、昨日言いましたね、そんなこと。」
悪びれる様子もなく先生は淡々とした表情をしていた。
「だって、ああでも言わないとやらなかったでしょ?ドッジボール。」
「待って下さいよ。だから嘘をついたということですか?」
「いいですか、大人数をコントロールするためには『嘘』も重要な道具です。戦争などがいい例です。嘘により国民を操り、戦闘意欲を高めていたのですよ。戦時中のあのような教育も国民を洗脳するためのもの、『天皇の為に』他人のために自分の身を進んで犠牲にするなんて普通じゃ考えられませんからね。この※国体の制度も都合がよかった。『天皇の為に戦っている』という意識が芽生えますからね。当時の日本では天皇が唯一無二の最高権力者でしたから。」
※天皇中心の体制のこと
俺達は思わずぽかーんと口を開けていた。呆気にとられていた。なんか、もう怒りの気持ちも無くなっていた。
「時には嘘も必要である。わかりましたか?」
「は、はい……」
俺達は教室へと帰っていった。
「かい君、いさ、どうだった?」
教室に入ると怜が尋ねてきた。
「いや〜、それが……」
霧島が成り行きを全て話した。
「へ〜、嘘は必要なもの…か。」
「だってさ。」
「ふーん、じゃあそれが嘘って可能性もあるよね。」
「!?」

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