「すいません、〇〇町までお願いします」
「わかりました。…時に奥さん、旦那さんは優しくしてくれますか?」
「…私、独身です」
「あーそうかそうか!こりゃすみません!…時にお嬢ちゃん、ママは優しくしてくれるかい?」
「私はもう二十歳越えてます!」
「おお、そうでしたか!すみません!…時におばあさん、おじいさんはまだ生きてるかね?」
「だから独身です!それに私はおばあさんじゃありません!顔を見てわからないんですか!?」
「おおー、ソーリー!国に残したママは元気かい?」
「…私は日本人です。はあ…もういいです。とりあえず、目的地まで行って下さい」
「オーケー!ニューヨークまでちょっとかかるよ?いいかい?」
「だ、か、ら、私は日本人だと言ってるでしょうが!」
「日本人ならニューヨークに行かないのかい?」
「…もういいです。降ります。」
「お客さん、お金払って下さい」
「走ってないでしょうが!って、もう着いてるし!」
「退屈しなかったでしょう?」
運転手は私に向かってウインクした。