この人、マンガ喫茶で働いてたんだ…。
そんな感じ、する…。
「あの…その金魚は…」
そう言われ、現実に引き戻された。
あの女の顔が頭に浮かんだ。
綺麗な人だった…。
これが世間で言う3年目の浮気ってやつなの?!
エリザベスに視線を落とすと、あの楽しかった夏祭りのことが、走馬燈のように思い出された。
ポタ…ポタ…ポタ…
私の涙はエリザベスが気持ちよさそうに泳いでいる、金魚鉢の中に吸い込まれていった。
「お……お客様…大丈夫ですか?」
この人、困ってる。
そりゃそうだよね。急に泣き出したりして。
でも、止まらない〜。
「……金魚は一旦お預かりして……当店をご利用されますか?」
「グスッ…そうします…」
「……………このマンガ、オススメです」
その人は私に一冊のマンガ本を渡した。
金魚鉢をカウンターの端に置き、その人は奥の部屋に行ってしまった。
続く