クライアナノナカ…………………二人目…………

ディナー  2009-11-13投稿
閲覧数[828] 良い投票[0] 悪い投票[0]

クライアナ二人目

おいしい仕事だと思ったよ。俺も芸人として売れて来た何よりの証拠、かな。

テレビでよくある、売れて来たタレントへの名物仕事だ。

オチの落とし穴ってのは、大体事前に通達するものらしい。
安全考慮のためだそうだ。
だろうなぁ、とは思ってたよ(笑)

このギャラで、ようやくプロポーズができるし、文句なしだ。



で、今オレはド田舎の、人なんてまるでいない山の中。

ここで気付けよ!

…って視聴者に突っ込ませるためだとさ。

見回してもカメラなんかない。
当然だよな。夜で真っ暗だし、隠しカメラらしいから、見えるはずもないよ。

先の方に、引っかけ役の女の子が立っている。

とっても可愛くて明るくて、待ち時間ですごい話が盛り上がっちゃったよ。

『落とし穴』に引っかけて、昔話をしてやったんだ。



昔、公園で遊んでた時にさ、ただ転んだだけで手を叩いて笑う知らない女の子がいて、ムカついたからさ、裏山に、一人じゃ出れないくらい深い落とし穴作って落としてやったんだ。しかもそのまま放置(笑)
そのコさ、落ちた場所が悪かったのか、口中血まみれで喚いてて…。


そんな話で手叩いて笑ってくれてたよ。
可愛い顔が破顔するのを見せたくないのか、顔までそむけちゃうくらいウケてて。




…さて、見せ場だ。

あと一歩でオレは落ちる。
引っかけ役の女の子に精一杯笑ってオレは踏み出した。

女の子が笑い返してくれる。












その口は、血で真っ赤だった。












底が抜ける。

『落とし穴』は、思ったよりも、


ずっと、


ずっと、












………フカカッタ。





終劇



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ディナー 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ