ねぇ…大好きなのに。

春樹  2009-11-13投稿
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必ず来る別れの時間。

春樹には、奥さんも子供もいる。

だから私は自分の気持ちを押し殺す。

「じゃぁ、亜弥はそろそろ家帰るよ」

私の強がる心と嘘の気持ち。

「うん」

平気なふりをする春樹。

【ずっとこのまま春樹の傍に居たい。また逢えなくなるなんて嫌だ。こんなに大好きなのに】

私の本当の気持ちは、私をその場から動けなくした。

「帰るんじゃないの?」

春樹が言った。

「帰るよ」

言葉より強い心。

そして、二人は少しの間沈黙していた。

「お前携帯持ってんの?」

春樹が聞いてきた。

「普通持ってるでしょ」

私は笑顔で答えた。

だってその質問は、これでお別れじゃないって事だから。

そして私と春樹は携帯番号を交換した。

「ご飯食べるんでしょ?また電話するよ」

そう言って春樹は帰ろうとした。

「うん」

安心した私は、素直に家に帰った。

家に帰っても、私の胸はドキドキして、ご飯なんて食べれなかった。

私の携帯に春樹から、着信が入った。

私は急いで通話ボタンを押す。

「掛けてくるの早っ」

私は嬉しかった。

「ご飯食べた?」

春樹の声。

「うん」

「じゃぁ、遊ぼうよ」

【春樹はいったい、どういう気持ちで私を誘ってるんだろう?】

また来る別れに、戸惑う私の心。

でも、もう決めていた。

春樹を好きな気持ちは、絶対変わらない。

強がった後に残る、むなしいだけの後悔はしたくない。

いつか別れがくるなら、その辛さは本当の自分で受け止める。

その夜、私は春樹に抱きしめられて眠った。

春樹の匂いも声も、鼓動や温もりも、全部が私を幸せにしてくれていた。

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