「何言っちゃってんの〜?アイツが浮気なんて出来る訳ないじゃん♪」
エリンの家で、あたしが怒りながら話すと、ハーンは笑いながら答える。
「ハーンは黙ってよ!やっぱ怪しいの?それだけなんでしょ?」
エリンは親身になって聞いてきた。
「ん…。でもさ、あのタイミングで動揺する事ないじゃん…。」
「ただむせただけなんじゃねぇか?」
「ハーンは黙っててってば!!」
「なんだよっ!疑うのは早いだろって言ってんだよ!ライアンは外で仕事してんだぜ?!女の匂いぐらい付くだろ??」
ハーンの言う通り…。
確かに、会社には女の子も沢山いる。
疑うのは早い…?
「とにかく、もう少し様子見たら…?ライアンがそんな事するとも思えないし…。」
エリンの言葉に頷き、あたしはアンリが帰ってくる時間まで、街をふらつく事にした。
そうだよね…。
ライアンがそんな事するハズないもんね…。
浮気なんて…。
アンリが帰って来る時間になり、買い物を済ませ、家に帰る。
朝とは違う、上機嫌のアンリが帰ってきた。
「ママ〜♪ただいま〜♪」
「お帰り♪アンちゃん♪どうしたの?上機嫌だね♪」
アンリの帽子を取り、汗を拭いてあげる。
「あのね!パパの匂いしたの!」
またよくわからない事を言い出す…。
「パパの匂い?どこでしたの?」
あたしは少し不安になりながら聞いてみる。
「かよこ先生からしたの〜♪」
アンリの幼稚園の先生…?
「先生からしたの??」
「うん…。」
アンリは頷き、洗面所へと向かう。
しかし…。
あたしからしてみたら、匂いなんてわかんないけど…。
と思った瞬間。
アンリの能力に気付く。
アンリはライアンと同じペガサス…。
動物的な嗅覚があるはず…。
それが芽生えた?!
急いでアンリの側へ行く。あたしの母が泊まりに来る時に使うパジャマを引っ張り出し、アンリに差し出す。
「これ…おばあちゃんの匂いする?」
アンリに聞くと…。
「うん♪おばあちゃんの匂いする〜♪」
と嬉しそうに答えた。
優れた嗅覚…。
なんて厄介!!
あたしは怒りが込み上げ、ライアンが帰って来るのを苛立ちながら待った。