「ほんとにありがとうございました」
エリザベスを手に店から出ようとしたけど、エリザベスを見た瞬間…
また涙が溢れてきた。
「…すみません…やっぱりエリザ…この子、しばらくここに置いてもらうわけにはいかないですよね?」
「………いいですよ」
「!。ほんと?」
「…はい」
「…ありがとうございます」
今は、エリザベスを見るのがツラい。
ツラすぎる…。
「…名前…名前なんていうんですか?」
「あ、吉田恵美といいます」
「…金魚の…名前あるみたいだったので…」
「あ。えっと、エリザベスです。今年の夏祭りで…とった…んです…」
泣きそうになるのを堪えて説明した。
「…エリザベス……素敵な名前、もらったな…」
その人はそう言ってエリザベスに声を掛けた。
「あの…お名前は?」
「……川端…川端です」
「川端さん、ありがとうございます。また、エリザベスの様子を見に来ますから。よろしくお願いします」
そう言って私は店を後にした。
続く