デッド オア...?

兼古 朝知  2009-11-13投稿
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――『お前はいつも誰と練習してると思ってんだよ?』

――『頑張れよ』

耳にはっきりと残っている言葉と、クセのある声。

…震えはそれでも止まらない。だから私は、その右手を左手で押さえつけて、強制的に震えを止めて書き始めた。
(大丈夫…覚えてる、覚えてるから…!)

…筆記試験は終了し…結果発表。
私は貼り出された大きな紙の中で、自分の番号36を探した。

『…28 33 36 40…』

「…あった!!」

私の顔は歓喜に満ち溢れた。心臓の音が聞こえる。体の底から、今までにないくらいの感覚が伝わってくる。
(信に報告しなきゃ…)
ふと、私はそう思った。
しかしそれより早く、私の父が信の親御さんに報告したらしい。
「…なんだ」
私はため息をついた。
信と話せるのも、あと何回かわかったもんじゃないから、私が言いたかったのに。
(あと一回だけでも…信と会えるのだろうか?)
そんな不安が頭をよぎり、私はまた深いため息をついた。

(こんなマイナス思考で どうするんだよ、自分…)

本当に、その頃の私は私自身が嫌いだった。

普段は強がってばっかりで、言いたいことは言ってのけるのに。
こんな時ばかり変に弱気になって。
――そのせいで何度挫けそうになっただろう。
――何度信に励まされただろう。
――何度…好きだって言うのを諦めたんだろう。

ねぇ、信…。
私がキミのことスキって言っても、変わらずに笑っていてくれる…?

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