夢を見た。夢の中で私は幸せだった。お金があるとか地位があるとかではない。春匂う野原にひとりきり。ただそれだけだが、妙に幸せだった・・夢から覚めると名残惜しい気がしないでもなかったが、ようやく床を出た
「おはよう」「・・あら、珍しく早いのね。朝ごはんならないわよ」相変わらず愛想の無いババ・・いや、愛妻。N氏はしばらく新聞をバタバタめくっていたが、ヒマをもてあましてか、例の夢の話を妻にしてみた
結果は最悪。妻によれば、社宅住まいの万年ヒラリーの分際で云々らしい。確かにそうなのだが、実際に言われるとなんとも言えないものだ。
次の日も同じ夢を見た。その次の日も。変な話だが、夢の中で私は至上とも言える幸せを手にした。なんと友達までできたのだ。その一人であるN君の話によると、「自分は建築会社で働いているのだが、どうも上司と肌が合わない。毎日毎日をイヤに思ってたところ、このような夢見心地の世界に来れた。自分は幸せである」また、A子さんは一児の母なのだが、夫が交通事故で帰らぬ人に。どうにか生計をやり繰りする内に睡眠薬を服用するようになったそうだ。今夜は致死量近い薬でここにやってきたそうだ