「よかったぁ 怒ってないのねノブオ君、ホントゴメンなさいです。」
ナナは屈託のない笑顔を見せると安心した様子で ゆっくりと語り出した。
「わたし…私達は今、この豊かな国に産まれ、なに不自由なく暮らしていると思うの、世界から見ても日本って言う国はホント、恵まれていると思うんだ。私達みたいな子供が個人で携帯を持っていたり、何か食べたいと思った時、簡単に食料が手に入ったり…」
ノブオは今の自分は日本人ではないなぁと思いながら、ナナの話に関心を寄せウンウンと頷き聞いていた。
「…でね、ノブオ君!私達みたいな若い人も世の中の助けって言ったら生意気かも知れないけど、何か出来る事があるんじゃないかって思って始めたのが この『ピース募金』なの」
ナナの優しい気持ちにノブオは感激していた。そして 下手な芝居をしてまで その場を切り抜け様としていた自分が恥ずかしくなっていた。
「お…俺も募金して…いい…かな?」
「えっ?」
「お…俺、桜井さんの考えって素晴らしい事だと思う。俺達って今、恵まれ過ぎてると思うんだ。好きな物を好きな時に食べて、お金が無くなったら親に 貰えて……はっ!」
ノブオは我に帰った。今、日本中で寄付をして頂きたいのは自分だったのだと…。
「嬉しい…ノブオ君、私達が この活動を始めた時、周りから色々と誤解とかされて、若い学生が怪しい募金活動をやってるとか、非難された事もあったの、今では皆に知ってもらって一番の喜びがノブオ君の様に優しい気持ちを持っている人に出会えた時……。変…かなぁ?」
そう言うとナナの綺麗な瞳からダイヤモンドの様な涙が流れた。
「ごめんね、嬉し涙…私、涙もろいから…これくらいの事でって馬鹿みたいでしょ?」
「ううん、凄いよ桜井さんっ!て言うか皆さんっ、お…俺、感動だよ、さぁ桜井さん頑張って!桜井さんに涙は似合わないよ、さぁコレを使って。」
ノブオはポケットからハンカチを取り出すと紳士に菜奈に渡した。
「ありがとう…」
ノブオよ そのハ…ハンカチは……。
つづく…