「へえ、葵
なかなかいー名前じゃん?」
「あ、ありがと…」
別にそこ、褒められてもあんまり嬉しくないんだけど。
違うとこを褒めてよね…
「俺、今日転入してきた、星奏多。さっきも言ったけど。
俺の事は奏多でいい。俺も葵って呼ぶし」
え……
あたし、フリーズ。
「……どした」
ずいっ。
奏多…じゃなくて!
ほ、星くんの顔が
どあっぷであたしの目の前に…
近くで見ると……
すごい…カッコイイ。
はっ。て、
ち、近い近い!
あたし…今絶対顔赤いって…
「ちょ、ちょ、待ってよ、」
「……何?」
そんな、まだよく知りもしない異性から呼び捨てで呼ばれるなんて……無理っ、絶対無理。
「だからっ、かっ」
「は?かっ?」
「か、勝手に呼び捨てにしないでよっ!」
「はぁっ?」
真っ赤になりながら
呼び捨てを拒否する葵。
「なんで?」
なんでって……
そ、そうきたか。
「だっ、て、まだあたし達って、その、そんな仲良くもないしっ、だからあの」
か、噛むなあたし!
ああ、また馬鹿にされるよ…
「…」
っ、ていうか、
なんで無言?!
そっちのが怖いよお…
「…」
う、なんか喋って……
「…」
しばらく沈黙が続いた。
20秒後くらいに、
沈黙にたえられなかったあたしが先に口を開いた。
「だ、だからそういう事だからねっ!ちゃんと『さん』とか『ちゃん』とか付け……っていうかもう、み、苗字で呼んでよっ!ほ、星、くん!」
う、うわ、「星くん」って…
苗字でも、緊張するよ、
「……ふっ」
?!