「本当にごめんねラン…もう喧嘩はしないから説明を続けて?」
十夜も同意と頷く。
では…
ヴィケッドは戦争が終わったあともファインを攻撃しました。手に入れた魔法を試したくて仕方がなかったのです。それをみた天上人は言いました。
《なんという不届き者!!汝等に天罰を!!》
ヴィケッドの空を暗黒が支配しました。やがてその暗黒はゆっくりと地上に下りてきて、人々の白いオーラを消し、暗黒のオーラを残しました。
一方ファインは壊れた建物の修復や怪我人の治療などに忙しく魔法を使っていました。それを見た天上人は言いました。
《なんという慈愛に満ちた者達だ!!心優しき者には祝福を!》
ファインの空を光が包みました。光はやがて建物を包み修復を。怪我人を包み回復を。そして死者に命の炎を宿しました。人々を包む光は黒いオーラを浄化し、純白のオーラを残しました。この時の戒めを込めて、ファインは純白の種族。ヴィケッドは暗黒の種族と呼ばれたのです。
「「…」」
長い長い沈黙のあと、十夜が、
「昔話はわかった。で、その天上都市とやらはどんなものなんだ?なんだかすごいことはわかるけど…」
「さすが十夜さん。着眼点がいいですね。では天上都市の話をしましょうか…」
天上人の高度な文明はどんどん進化していきました。そして、ジアースだけでは物足りなくなった天上人は異世界へ移住しました。少数の天上人と天上都市を残して。そして現在の地上でも理解出来ない文化でできた天上都市に少しの天上人が…ひっそりと暮らしているのです。
「ねえラン…今思ったんだけどサ…」
「なんですか?シエンさん」「この裏の歴史はファインやヴィケッドが知らないはずなんだよね?」
「はい。そうですが。」
「じゃあさ…ファインでもヴィケッドでもないランとリオは…天上人?」
「ええ…そうです。ぼく達は…天上人シュエです。」