ふぁ〜あ
誰かの大きな欠伸で目が覚めた
いや、意識が戻ったというべきか
周りの状況を把握しようと見回すが、瞼も開いていない
こら、しゃきっとしろ!しゃきっと!
1番前の席でよく眠れるなぁ!
クラス担任のデカバアだ
朝から元気な人もいるもんだ
そう思いながら重い瞼を擦った
おはようございま〜す
周りからの元気な声が、毎日正確な目覚まし時計の不快な音に感じた
出席を取ります!
細く開いた瞼から窓に映る木々を見た
爽やかそうな風に、やっと生えてた黄緑色の芽が、気持ち良さそうに体を揺らしているのを卑屈な感情が黙ってはいなかった
そうしてられるのも今のうちだ。秋になったらお前らに引導を渡すこともしらないで
そう思った瞬間に少し後悔した
なんで葉っぱにケンカ売ってんだ?アホらし
焦点を変えて教室を見回す
いつも通りの光景だな。変わったことといえば、1つ席が空いてることぐらい
あれ?あそこに
コラ!何回呼ばせる気だ!
は〜い
気のない返事ですませた
先生。席が1つ多いんですけど、もしかして転校生ですか?
水面に一石投じたように周りがざわめき立つ
転校生?どんな子かな?
関西人だったらいいね
いいねそれ
転校生か。どうせ目立たない、もやしっこだろ。ドラマだったらかわいい女の子が来て、事件があって仲良くなって…
静かに!
昨日ここで生活委員会があって、席が足りなかったので隣のクラスから借りてきたんです
え〜。なんだ〜。
やっぱりね。オレの予想が当たった
お前もさっきまで期待してたじゃね〜か。
何だよ。少し期待しちゃったじゃね〜か。
少し悔し恥ずかしい顔を人に気付かれないように
眠〜といいながら目を擦りごまかす
しかし!転入生がいることは本当です
デカバアの一言で静かになる教室
期待の視線は一点に注がれる。
一瞬ドキッとしながらまだ、興味がないことをアピールしている。今ので完全に開いた目を擦りながら
期待させといて悪いけど、転入生は隣のクラスです
なんだよ〜
先に言ってよ〜
やっぱりオレの…
うるさい!
はい!静かにして!授業を始めます
だよな、現実は。こんな盛り上がりさえも久しぶりだし
精一杯の前向きな考えだった
今日も相変わらずの毎日か