神のパシリ 33

ディナー  2009-11-16投稿
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雨があがる。

今日はもう、汚れは洗い流し終わったとでもいうのだろうか。

びしゃびしゃと叩かれていた地面が、水溜まりが揺らぎを止める。










と。

人が、いつの間にか広場から消えている。

いるのは、レミーシュただ一人。

「…なんだ?」

「おかしい…こんなパターンなら今までの件は僕らも気付くはず。…何が始まるんだ…?」
キアはそう言いながらも、嬉々として目を見開く。

気配や予兆もなく、一人の存在が姿を見せた。
レミーシュの近くの、ひび割れたベンチだ。

「…奴か…?」

キアは立ち上がり、右手を上げた。
親指を立て、すぐに立てる指を中指に変える。

包囲の合図だ。




……何の反応もない。

「……!?」

キアが訝しんで、もう一度合図を出すが、結果は同じだ。

ゼルは辺りを見回した。

見える限り、人影はない。

だが、気配は分かる。

動かないのか。

動けないのか。

ゼルは空を見た。

一羽、黒い鴉が、空にいる。







翼を羽ばたかせず、不動のままで、空に存在している。


静止画のように。



「…時を…凍らせた…!?」

「…そんな馬鹿な」

ゼル、キアは動けるのに、だ。

「…俺達は小間使いだからか…?下界のみに作用させている『因果』を歪ませたのか…?」

「…そんなの、人間の所業じゃないよ。…やっぱり、あいつも神のパシリか何かって訳かい…?」

「…ちぃっ」

ゼルは跳躍した。広場を見下ろせるビルの屋上から。

その、何の類か分からぬ存在は、レミーシュに話しかけているようだ。

「お、おいゼル、一人はヤバイってば…!」

すぐにキアが追う。

ゼルは煉瓦を破壊して着地し、その破壊された地面に左手を突っ込む。


ずるり、と大鎌が姿を見せる矢先。





レミーシュと、その傍らの存在…おそらく、『魂喰い』…の前には、

先客が、現れていた。

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