『もちろん、俺だ』太郎は言った。
『何で太郎なんだよ』十番が反論した。
まあ、当たり前だろう。太郎の恋の手伝いをするためにファンクラブに入ったわけではないのだから。
『お前たち、本当のファンというものを知らないな』
太郎、何か幹部を納得させる秘策でもあるのか?
『ファンにとって芸能人アイドルは手がとどかない存在だろ。アイドルと付き合うことができるのは同じ立場の存在の者だ。今の場合、奈々さんと付き合うことができる立場の者は俺だろう。なぜなら、このファンクラブの創立者だからだ。
だから、奈々さんの恋を暖かく見守ったり応援したりするのが本当のファンと言うんじゃないのか?』
意味わかんない…。てか、結局創立者でも同じファンだと思うが。あと、芸能人のアイドルと学校のアイドルを同じ立場にするのは変だと思う。同じ立場の者が付き合うっていうのも変だし。
『そういえばそうかもしれない…。俺たちにとって奈々さんは手がとどかない存在。俺はELTのもっちーのファンでもあるがもっちーが結婚しても暖かく見守るつもりだ。そうか…。俺はファンとしての誇りを失うところだった…』十番が言った。
な、納得しちゃった。ありえない…。