「何!?」
レンは驚いて立ち上がったが
ルカもすぐそばの席で
本を読んでいたダフも
落ち着いて顔をあげた。
「レン、大丈夫だよ。
これは船内放送。
世界で起こった異常な出来事やら
事件を知らせてくれるんだ。」
レンはほっとしたものの
まだ警戒したまま
椅子に座った。
機械的な女の声が響いた。
『カナロア海賊船が
リル島に漂着。
乗員全員が意識不明の状態。
何者かに襲われたと見ているが
怪我人、死亡者はなし。
島の住人より
怪しげな男を目撃したとの
証言あり。
リル島警察はその男を調査中』
「カナロア海賊?!」
ダフが声をあげた。
「何なの?カナロア海賊って?」
ルカが尋ねた。
「そんなことも知らねーのか。
カナロアはな、
世界でも悪名高い海賊だ。
政府も頭を抱えるほど
力のある海賊でな、
まさかそのカナロアが…」
「そんなにすごいの?」
「当たり前だ。
あいつらがやられたなんて…」
「その怪しいって男が
襲ったのかしら」
レンはぱたんと本を閉じ
呟いた
「まさか。
1人であいつらを倒せるような奴
いるわけないだろう」