「もしもし?」
春樹が電話に出た。
「春樹?亜弥彼氏と別れた」
私は、まるで何かから解放された様に、気持ちがスッキリしていた。
「ホントに?」
春樹が驚く。
「うん」
「なんて言ったの?」
「亜弥が別れたいって言ったらどうする?って言った」
その時、歩いている私の横を車が通る。
「何処にいんの?」
春樹が心配してくれる。
「今、歩いて帰ってるトコだょ」
私はすごく元気だった。
「何処?迎えに行くよ」
春樹は、すぐに私を迎えに来てくれた。
そして、もう朝の5時。
その日も仕事だった春樹は、今から寝たら、起きれないと言って、そのまま二人、車の中で8時頃まで話していた。
私が彼と別れた時の話しを、春樹は黙って聞いていた。
春樹は時々、横顔で微笑んでいた。
その話しが終ると、いつもの様に、春樹が私を、からかって遊んでいた。
そんな時間が流れるのは早く。
春樹が仕事に行く時間になってしまった。
春樹は私を実家に送ってから、仕事に行った。
「メールするね」
春樹はいつも別れ際、キスをしてから、必ずそう言った。
「うん」
私は、いつも笑顔でうなずく。
実家では、私の部屋が物置になっていた。
部屋に入り、少し気持ちが落ち込む。
途端に携帯が鳴った。
春樹からのメール。
「亜弥大丈夫?彼氏と別れて後悔してない?俺は、亜弥が彼氏と別れたって聞いて、すごい嬉しかったよ」
黙って私の別れ話を聞きながら春樹は、私の心を心配してくれていた。
「後悔してないよ頑張ってない自分は嫌だったし、あのままだったら、自分の人生適当に生きて行っちゃうトコだったと思うから、別れ無かったら後悔するトコだったと思う」
私の本当の気持ち。
その日の春樹は、私の事を心配し過ぎだと思う位、一緒に居てくれた。
お昼もわざわざ、私を迎えに来てくれて、急いで一緒にご飯を食べた。
春樹がしてくれる全てが、嬉しすぎて、私の気持ちは強くなり続けた。
【春樹が傍に居てくれるなら、何もいらない。もう絶対見えなくならないで】
私の、ずっと変わらない本当の心。