遠い遠い君へ

くろ  2006-08-10投稿
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やっとの思いで顔をあげ、
声を限りに叫んだ。

「先輩!!先輩!!許してください!!
 もう晃輝先輩には近付きません!
 だから許して・・・。」

途端に、先輩の力が緩む。
先輩の顔を見ると、いつもの優しい笑顔が浮かんでいた。

「そう・・。
 やっぱり紅璃は可愛い後輩だね。
 じゃ、晃輝先輩と私のこと、応援してね。」

「は、はい・・・。」

「じゃ、気を付けて帰って。」

そう言い残すと先輩はくるりと後ろを向いて、
帰ってしまった。

寒さと恐怖で震えが止まらない。
家は近くなのに、帰れない。
こんな姿親に見られたら、絶対何があったか
聞かれるに決まってる。
全部親に話せるわけない。

涙が出てくる。
気候はみぞれが混じっていきた。
寒さはなお更私を襲う。


「あ、紅璃・・・?」
誰・・・?
怪訝そうな顔で声の主を見ると、
そこには七海が立っていた。

「七海・・・。」
安心したせいか、涙がドッと溢れる。

「紅璃、どうしたの!?」
七海は私を抱きしめてくれた。
「さ、立って!こんなところで尻餅ついてたら風邪引いちゃう!」

七海は私の体を起こす。
「さ、ウチんちに来なよ。あったかいから。」

今日は七海の家に泊まることにした。
親には七海が上手く説明してくれた。

こんなとき、機転が利く七海には本当に憧れる。

七海は私に、ホットココアと毛布を用意してくれた。
「でさ、何があったの?晃輝先輩が何かしたの?」
少し怒った口調しなった七海。

「ううん、違うの。あのね・・・。」
私は洗いざらい全てを話した。

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