「そろそろ終わりにしようか…」 フラーはそうつぶやくと再び呪文を唱えはじめた。 フラーの頭上にはさっきの炎より、数倍大きな炎の塊が浮かんでいる。 「…もう…逃げる体力もねぇよ…」 レックスは剣を構えながらゆっくり立ち上がった。 その瞬間レックスに真っ赤な炎が襲いかかった。 「レックス!!」 ハウィーが叫んだときにはすでに炎に包まれ、レックスの姿は見えなくなっていた。 フラーはそれを無表情で見ている。 炎がだんだんと小さくなっていくと、そこにはレックスが不思議そうな顔をして立っていた。 「あれ…、なんともない…」 とレックスは言いながら周りにある白い膜のようなものを見ている。どうやらこの白い膜が炎からレックスを守ったようだった。 「…よかった…レック…ス…」 フィーがおぼつかない足取りで歩いてきた。 「フィー!お前がやったのかあれ!?」 とハウィーはフィーに言ったがフィーはそれに応えることなく倒れてしまった。 「フィー!!」 レックスはフィーに駆け寄った。 「おい!フィー、大丈夫か!?」 レックスはフィーを抱き寄せた。するとフィーの寝息が聞こえてきた。体力を使い果たしたのか寝てしまったようだった。 「実験は成功していたのか?」 突然フラーがしゃべりはじめた。 「実験って何だよ!?」 ハウィーが聞くとフラーは少し笑みを浮かべ、またしゃべりはじめた。 「その子はある実験のために人工的につくられた。と、言ってもロボットというわけではない。体のつくり事態は普通の人間と同じ。」 「違う!フィーは両親がいるって言ってた…!」 「記憶を植え付けたにすぎない。その子には普通の人間として生活させるつもりだったからねぇ。でもその子は普通の人間じゃない。君も見ただろさっきの魔法、あれは防御の魔法だ。防御の魔法を使える人間は例外を除いて存在しないんだよ。それに何の訓練も受けずにほぼ完璧に防御魔法を使いこなしていた。」 フラーはいつもの無表情でしゃべっていた。