神のパシリ 34

ディナー  2009-11-17投稿
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いつぞや目にした、なまめかしい脚に、肉感的な曲線を描く体………


白き者。

光の一翼。


レミエル。

「下郎が…時間を歪めてまで…貴様、目的を言えっ!」

レミエルの目の前に、フードを目深に被った、人かどうかも分からぬ者。

おそらく、この者が『魂喰い』…で間違いないのだろう。

フードの者は、フードの暗がりから見える口をにやりと笑わせた。

「…聞かれて、言うと思うか?」

「…だろうな。どちらにしろ、刻を歪めるのは禁忌だ。裁いてやる」

「ふっ…恐い恐い」

レミエルを茶化すように、フードを被った者はマントコートから腕を出した。

それは、まるで悪魔を思わせるいびつな腕。

指は鋭く長く、闇をまとっていて、はっきりとした定形を持っていない。

今にも空間と同化しそうな腕だ。

「塵芥にしてやるっ!」

レミエルが『魂喰い』に肉迫した。その美しい脚で『魂喰い』を蹴り飛ばし、追走する。

いつの間にか、手にはあの時と同じ槍が握られている。

「フハハハッ…いいねぇ。力強い魂を感じる…流石は神の御使い、って所か」
『魂喰い』は子供をあやすように、槍を手で払いながらレミエルの動きに合わせ、下がり、前進する。

「な、何!?一体何が……」

戸惑い、錯乱するレミーシュに、音もなくゼルが近付く。

「ゼ…ゼル……」

「ここは危険だ。事情はまた話す」

問答無用でレミーシュを抱きかかえ、尋常ならざる速さで離脱する。

「…ぅわああぁぁっ!」

その速さにレミーシュの口から悲鳴が上がる。

それとは入れ違いに、ゼルの頭上を、キアが尋常ならざる跳躍で飛び越す。

「…予定は大幅に狂ったが、まあ結果オーライってとこだねぇ」

キアを殿りに、三人はその場を離脱。

キアは様子見のために広場に残り、ゼルはレミーシュを連れて安全圏と思われる辺りまで退避する。

無人の、細い崩れかけた路地を駆け抜け、レミーシュを路地裏まで連れていく。

まだ、剣劇に似た、力同士がぶつかる音を体が感じとれる距離だ。

抱き抱えたレミーシュの体は、小動物のように小刻みに震えていた。



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