「けいたー部活はー?」
「んー」
慶太郎は眠たそうな様子で
曖昧に答えた。
達也が死んでから
もう何日も部活に
顔を出していない。
相変わらずなのは
慶太郎の頭の中で鳴り止まない
ドラムの音だけだ
「先生は、お前のこと
気に入ってるから
何も言わへんけど…」
猛の声を遮るように
校内放送が響き
慶太郎の名が呼ばれた
「なんやろ…」
「…」
慶太郎はだるそうに
立ち上がった。
――「昨日な…
体育館の裏でこんなもんが
見つかった」
そう言って顧問が
出したのは
煙草の吸い殻とその空箱だった。
「加藤達が昨日
お前が吸ってたのを
見たと言ってるが…ほんまか?」
もちろん身に覚えはない。
顧問の後ろでは
試すような顔で見つめる
加藤がいた。
「…はい、そうです。」
顧問は驚き
加藤の目も普段の2倍に
見開かれた。
「お前…なっ」
「先生、もうすぐ試合近いし
皆には迷惑かけたくないんで
俺部活辞めます。
すみませんでした。
失礼します」
慶太郎は淡々とそう言うと
出て行った