ねぇ…大好きなのに。

春樹  2009-11-19投稿
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亮は、すぐに来た。

待っていた私の目の前で亮は車を止めて、窓を開けた。

「無理だよ、帰ってよ、酔っ払ってるじゃん」

私の心には、亮への恐怖心がある。

殴られるのは、怖くないはずなのに、何故か亮が怖い。

「うるせーよ。乗れよ」

亮が怒鳴る。

「やだ。帰ってよ」

「じゃぁお前ん家行くから」

亮はそう言って、車を道路脇に寄せ、エンジンを止めた。

そして、亮が車から出てきた。

「やめてよ」

私は亮を押さえ、車のドアを開けた。

「じゃぁ、乗れよ」

亮は強気だった。

私は、車に乗った。

「なんで?亜弥なの?女なんていくらでも居るんでしょ?違う人に遊んでもらいなよ」

私は動揺していた。

「お前、もう喋んな」

「なんで?じゃぁお願い、帰ろうよ」

「だから、勝手に喋ってんじゃねーよ」

亮が怒鳴る。

私は喋るのをやめた。

「じゃぁ、お前ん家行くのと、ラブホ行くのどっちがいい?」

【私が今我慢して、この事も誰にも喋らなければ、全部すぐ終る】

「ラブホ」

私には、それしか選択肢がなかった。

亮は車を走らせた。

【やだよ…春樹…春樹…春樹】

私は、助手席の窓から外を見たまま、心の中で春樹の名前を呼び続けた。

そして、すぐホテルに着いた。

「脱げよ」

亮が怒りながら言う。

「やだよ…やだ…やだ…」

辛かった。

事が終ると、亮はすぐに寝た。

私は真っ暗なトイレの中で、春樹にメールした。

「起きてる?」

春樹から、返事は無かった。

もう夜中の2時を過ぎていた。

私は携帯を握りしめた。

「春樹…ごめんね」

小さい声で、そう呟いた。

溢れ落ちる涙が、私の心を、傷付けていた。



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