ありきたりな出会いが
俺を変えてくれた。
抱き合うだけしか出来な
い俺は、なんだか君に悪
い気がした。
「愛してる。」
千里(チサト)は言った。
「俺も」
簡単な言葉ですませた。
恥ずかしくて愛してるな
んて言えなかったのもあ
る。
でも、それでも千里は優
しく俺を愛してくれた。
「ありがとう」
最期だった。
千里はそれだけ言って
俺の前から消え失せた。
千里はいじめられてた。
それを俺が知ったのも
千里がいなくなった
あとのことだった。