「今、何度?」珈琲を飲み終わったが、暖まった体温もすぐに逃げてしまい、身体を擦りながらナオミはバラッドに問いた。シャドーフォックスのコックピット内にある温度計はかなり低い温度を指している。「8℃だ。…本当に大丈夫か」身体の震えこそ抑えているが、しかし、触れた手は氷の様に冷たい。「しっかり…しろ…」動く事すらままならない様子なので抱き抱え、真紅のガンスナイパーのコックピットハッチを空けて、シートに横たわらせる。着ていたコートを彼女の肩に掛け、滑るような髪を撫でた。「ごめん。なんか…もう」「気にするな。落下の衝撃で怪我もしたんだ。ゆっくり休んでろ」「えぇ、わかったわ」言うとすぐ彼女は眠りに落ちた。一瞬浮かんだ柄にも無い考えを振り払い、彼もまた、シャドーフォックスの中で眠りについた。 朝霧の付けた朝露を、鬱陶しそうに振り払いながら、フォックスは吠えた。「ナオミ、ナオミ…」「あ…バラッド…」朝だが、昨夜よりは気温は高い。「どうだ?気分は?」