病院に着き友美のいる3階に急いだ。302号室。俺はあと何回この病室に来るんだろう。来るたびに友美の体調が良くなってて何ヵ月かしたらまたデートしてんだろうな。待ち合わせしてもどうせまた待たされてんだろうな。何て良い方に考えてた。いや、考えようとした。じゃないと気が狂いそうだった。
病室の前にあるベンチに若い男女が座ってた。俺と母さんに気付いた彼達はすぐに立ち上がり頭を下げた。
『俺の友美に痛い思いさせたのはこいつか・・』
俺は怒りが込み上げてきた。昔に空手をしてたおかげで腕力には自信があった。それで悪い事ばっかりしてた。そんなすさんだ俺を救ってくれたのが友美だ。
「やめなさいっ!」
友美の声が聞こえてびっくりした俺は後ろを振り返った。怒った時の友美そっくりな母さんがいた。
「淳・・やめなさい・・。そんな事しても一緒だよ。友美が悲しむよ・・」
そう言い放つ母さんの手が震えてた。
・・そうだよな、俺よりも母さんの方が怒ってるよな。自分の娘だもんな・・。俺は瞬時に胸ぐらに掴んだ手を離し振り上げた拳を下ろした。その時女が泣きながら頭を下げたがその時異変に気付いた。女は妊娠してた・・