パールに言われタクトが海が見渡せる窓を覗いた。
「うわー!」
数え切れない程の船が海に漂っていた。
「霧が晴れてルパスの奴らはビビって逃げ出したんだ」
「不当にパラスの国境内にいる事がバレると、いろいろと面倒な事になりますからね」
「木彫りの不死鳥の翼も手に入れたし、わたしたちはこの島にもう用はない。さ!早く帰りましょ」
三人は城の一階まで降りてきた。
「あ!船を借りないと!」
タクトが思い出したように叫んだ。
「バーカ、んなもんいらねぇよ」
ウェドがタクトの額を人差し指で強く押した。
「あ!あった!こっちですよ」
フラットは床を開けていた。
「タクトが眠っている間にイエルが教えてくれたの。エンシェントロックの秘密の通路を」
フラットに導かれるがままに床下に入って、階段を下った先には、トロッコの置かれた洞窟が口を広げていた。
「これだな」
トロッコに飛び乗ったのはウェドだった。
「ウェドさん!」
トロッコは少しずつ動き出したかと思うと、みるみる内にスピードが増していく。
「早く乗れ!」
「もう!安全かどうかも分からないのに!」
パールは加速を始めるトロッコにいち早く飛び乗った。
「タクトさん!急いで下さい!」
「フラット!乗って!」
次にフラットが乗った。
「待て!」
かなりの速さが出てきたトロッコに飛び乗ったタクトを確認すると、四人はトロッコにしがみついた。
「スピードがかなりあるな」
トロッコはグングンスピードを上げていく。
「この分だとすぐに着きそうね」
パールはトロッコの切る風に髪を靡かせていた。
「・・・ははは」
「なんだ?」
「・・・この声は」
タクトは目の色を変えた。
「・・・はははは、逃がしませんよ」
突然、壁から多数の鎖が飛び出してきた。
「伏せろ!」
「よくも、恥を、かかせて、くれましたね」
「どこだ!傀儡!」
「か、傀儡!生きてたんですか」
「私は負けない!」
壁の鎖がなくなった。
「厄介なことになったな」
四人は頭を上げた。
「ははは・・・」
傀儡は鎖を胴体に絡ませ、まるで二本の巨大な足のように鎖を形作り、トロッコの後方から迫って来ていた。
「ここで終わらせないと」
「当たり前だ」
トロッコは加速を続ける。