火葉が一人どんよりしながら教室に戻ると白井が駆け寄ってきた。
「手塚!大丈夫か?」
「ああ。」
「早稲田はさ、異能力者なんだ。だから藤阪と同じようにクラスじゃ浮いてるしあいつ自身も俺達と関わろうとしないんだ。」
それは、『異能力者だから』なのだろうか。
「……そっか。」
「ああ。だから…」
「悪い。ちょっと電話きてるわ。」
グッドなタイミングでかかってきた着信。
ディスプレイを確認して通話ボタンを押す。
「佐倉か。」
《ああ。》
「『仕事』か?」
《ああ。
秋津高校近くの竹藪で違法異能力者が立て込もっている。》
「竹藪ってまた何でそんなトコで…」
《知らん。ではな。》
プ
ツーツー…
…佐倉の電話はいつも一方的だと思う。
自分の用件だけをさっさと言って切る。
電話だけに言えたことではないのだが。
携帯をポケットにしまうと今度はそのポケットからメール着信の振動を感じた。
「ったく、まだあんのかよっ」
『言い忘れていたがこれがターゲットの情報だ。』
短いメッセージを読んだあと添付されているファイルを開いた。
「面倒だなオイ…」
ターゲットの異能は、カメレオンのように自分の色を変えること。
「木を隠すには森の中、ってか?
だから竹藪なのか…」
これは、若菜に相談した方がいいかもしれない。
そう思い、火葉は資料室に行くことにした。
追記
前回タイトルを「もしも私が」と記述しましたが「もしも明日が」の間違いです。
訂正とお詫びを申し上げます。