日本のあらゆる所で難解な怪事件が発生している。その中の多くは謎に包まれている。名古屋市内の大学に通う祐介は土曜の夜はよく仲間と共に岐阜や長野の山道を走りに行っていた。
11月21日土曜日、祐介は仲間達と3・3で2台の車で山道をレースみたいに走ろうとしていた。
祐介の車はレガシーで智樹と雅道の三人、もう一つの車は日産スカイラインで幸信と博之と康介の三人。
彼らは交代交代で運転を代わり長野の山道を走っていた。カーブの多い道でスピードを出して走ったり、追い抜いては抜かされたりを繰り返していた。
その時、前方に不気味なトンネルが現れた。鬼神山トンネルという名前のトンネルだ。そのトンネルは何だか薄暗く距離も長く威圧感を感じた。
トンネルに入ると祐介は車内にウ゛ァンヘイレンのジャンプを流した。
「トンネルの中はノリの良い曲じゃないとな。このままアクセル全開で突っ走るぜ。」
2台の車は音楽をガンガン流しトンネルの中を走っていた。「見ろ!幸信の奴、必死に追い越そうとしているぞ。」後ろを見ればスカイラインが必死にレガシーを追い越そうと虎視眈々としている。
その時、トンネルの片隅に鬼の形をした像があった。祐介はそれを軽々通り抜けた。スピードは112キロ出ていた。
そして祐介がバックミラーで後ろを確認したところ、後ろにいるはずのスカイラインが消えていた。
隣でもいるんだろうと祐介は左右を確認したが、スカイラインは見つからなかった。「おい!幸信のスカイラインが消えたぞ。アノヤロー、何処に行きやがったんだぁ。さっきまで後ろにいたはずの車が急に消えるなんておかしいよなぁ。」と祐介が行った。
「なに、幸信の車には門限のうるさい康介がいるから先に帰ったんじゃないの?俺が今から博之の携帯にかけてみるよ。ホント、アイツラときたら。」と智樹が言い、もう一台の車の博之に電話をかけた。
しかし携帯は圏外だった。「ダメだ。山道だから電波が悪い。きっと先に帰ってるはずだ。俺達もUターンして帰ろうぜ。」と智樹が電話をかけたが、繋がらなかったので祐介達三人は仕方なく帰る事にした。