デジログ使いと翁の鍵 第11ログ―出陣―

白山こっこ  2006-08-10投稿
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第11ログ―出陣―\r

ランザは零太の出した左手を確認するように眺めると、その手首を持って上に挙げた。そして自分の右手の人差し指で彼の掌にと触れ、目をつむる。
「…合体、寄生、上級…!」
その途端二人の間に強烈な光が発生し、彼らはその光に包まれた。
「うわあぁあっ!?」
それは一定時間爆発的な力を見せたかと思うと、静かに威力を鎮めていった。
そして消えた光の中から現れたのは、

零太一人。

「…あ、れ?ランザ…何処に―」
―零太殿、此処ですよ―\r
と声が響いたかと思うと、零太の頭に何者かの拳が目を見張るような速さでミラクルフィットした。
「痛っあぁあっ!?」
どこからともなく出現した拳の招待を、彼はすぐに知る事となった。たんこぶが見事に腫れあがった頭と共に、先程ランザに差し出していた筈の左手が赤くなっている。
「…?なん、で…」
―あはははは…僕ですよ。僕が零太殿の左手に『寄生』したんです…
つまり、これから貴方の左手は僕の意思で動かせるということなんですよ―\r
「なんだとっ…ふざけるな!誰がお前なんかに左手を…」
―安心してください。僕は(多分)貴方に悪戯はしませんから。ただ、人前に姿を見られる訳にはいかないでしょう?だからこうしてついて行かせてもらいます♪―\r
「…そ、そうか…」
例え少し腹の虫が治まらなくても、きちんとした理由が有る限りはあまり文句は言えなかった。仕方がない。このまま連れて行くしかないのか…
「いいけどお前、マジで余計な事すんじゃねぇぞ。どちらにしろ俺に利益なんざないから」
―大丈夫ですって♪―\r
「………」
心配極まりない。
―いいから、そろそろ行ったらどうですか?友莉葉殿が危ないですよ―\r
「…どの口が」
長引かせたのはお前だろうが、という言葉を押し隠して零太は通学の用意をした。只でさえ何度も人を半殺しにして来た自分の拳が、どれだけ痛いかは自分が一番わかっている。
「さあ、行くか…学校へ…初めての戦いに…」
少し気怠そうに、肩を回しながら階段を降りる。ランザも、(零太の)左手をぱたぱたと振って語り掛ける。
―ですね。頑張りましょう、零太殿!―\r
「はいはい…せーぜー頑張るよ…」
ランザの言葉は彼の頭の中にしか響いてないので、他人から見れば『茶髪の不良が左手を動かしながらブツブツ独り言を言っている』というおかしな光景なのだろう。



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