―リリィが居なくなって何日経つのだろう…実際は数日しか経っていないが、もう何年も逢っていない感覚だ…
何処にいても奇妙な[不安]が湧いてしまってしょうがない―\r
「うわぁぁぁあ!!」
学校の授業中にも関わらず隼人は机や椅子を投げ回し、窓ガラスが次々と割られていく
教室は悲鳴と先生の怒号が響き、他のクラスも授業どころじゃなくなってしまった。
「隼人もうやめろ!!
一体どうしたんだよ」
要が必死に隼人を止めようとする
しかしそんな声も隼人には全く聴こえていなかった
―もう毎日リリィに逢えなくて地獄にいるようなんだ、助けてくれよ…誰か!!!―\r
時間が経ち、さっきの騒ぎを忘れさせるような静けさになっている。
…あれ?俺は一体…
気がつけば隼人は保健室のベットに寝ていた。先生はちょうど外出中だったのかその場にはいなかった。
空はもう紅くなっていた。今日の夕日はいつもより紅い色をしていて、やっと落ち着いていた心がまた騒ぎだしそうだ。
…俺は何をしていたのだろう
そのとき、学校に校内放送が響く。
『緊急放送です、先程警察から学校近くで殺人事件が起きたと連絡がありました。まだ犯人は逃走中なので、帰りは十分に気をつけ一人では絶対帰らないで下さい。繰り返します…―』
あちこちで生徒が騒ぎ出す。
しかし大半の人はまるで楽しいことがあったのかと勘違いしてしまうほどの笑顔散乱していた。
隼人は特に気にすることもなく、ぼんやりと外を眺めていた。
―………?
隼人の目線の先には校門にたたずむ一人の少女だった。長く伸びた髪をなびかせ、ずっとこちらを見つめていた。
そのときふわっと隼人を包んだ風に確信をついた
「リリィ…!!」
隼人はベットから飛び出し、窓から保健室を脱出して裸足のまま一目散にリリィの元へ駆け出した。
そしていままで暗かった顔が満面の笑みに変わり彼女に抱きついた。
「今までごめんね、淋しかったでしょう?」
こくこくと頷くことしかせず、ずっと彼女の存在を確かめていた。
香りが今までで一番濃く、久しぶりに天国を味わえていた。
しかし先生・生徒がこの行動に気づかないわけがなかった…
―続く―