家に帰ると、
誰もいない…。
死神様の姿もない…。
(バイトかな…?)
私はよたよたしながらお湯を沸かしてコーヒーを入れる。
なんか…
ふらふらする…。
いつものようにコーヒーの香りを嗅いで、飲もうとした瞬間…。
込み上げるムカムカ感…。
その場で吐いてしまう…。
何なの…。
風邪ひいた…?
仕方なく、ティッシュと雑巾を出し、せっせと拭く。
後ろを振り返ると、死神様が口を開けて立っていた。
「いつから…そこに…?」
「今帰ってきたとこ…。大丈夫か?病院行く?」
死神様に抱き抱えられ、私は安心感を得てしまい、目を閉じた…。
気が付いたら、ベッドに横たわっていた。
横を見るとハーンが少しご立腹な顔をして座っていた。
「ハーン…?ここドコ?」
「病院…。魔界のね。…てか、何やってんの?」
いつもより、口調が強い。
「何って…?」
私は自分が何をしたかなんてわからない…。
「なんで、死神に頼むの?!」
「頼むって…?あたし何にも頼んでないよっ!!」
身体を起こして、ハーンを睨みつけた。
「結婚式の事!!二人の問題だろ〜が?!バカじゃねぇの??しかも妊娠して、死神にここまで連れて来られて…。エリンは何考えてんだよ…。」
さっぱり訳わかんない…。
ハーンがいつもより怖い。
「あたし…頼んでないし。妊娠だって始めて知ったのに…。」
悔しくて、涙…。
ハーンの勘違いなのに…。
涙を流す姿をみて、ハーンは言葉を詰まらせた。
「出てってよ…。」
「へっ…?」
「出てってってばっ!!顔見たくない!!一人にしてよっ!!」
私は枕を投げ付け、ハーンを追い出す。
バカ野郎には、そう…
そうやって八つ当たりしたほうがいい…。
あんなヤツ………