「逃がしませんよ」
傀儡は腕に巨大な鎖のハンマーを装備した状態で右の壁を突き破り、立ちはだかった。
「そんな・・・」
もう避ける術は残されていなかった。さらに、複数の鎖が前方から向かってくる。
「いい考えがあります」
フラットは杖をトロッコの前に出すと集中し、杖の前にトロッコより少しだけ大きな炎の膜を作った。
炎の膜はやってくる鎖を次々と溶かした。
「大丈夫かい?」
フラットの顔色はみるみる内に悪くなっていた。
「大丈夫、です。あと、もう少し」
そのまま傀儡の足を突き破りトロッコは直進した。
「やったぞ!」
そこでフラットは眠ってしまった。
「フラット?大丈夫なの?」
前方から光が射し込んできた。
「出口だ!」
「待って下さいよ」
トロッコは地面から生えてきた鎖の塊に後ろから持ち上げられた。
トロッコは宙に浮いた。
三人の悲鳴が聞こえる。トロッコは出口に到達することはなかった。
フラットは遠くに投げ飛ばされ、三人もバラバラに投げ飛ばされた。
「い、いてぇ」
ウェドは腕を押さえながら立ち上がった。
近くにひっくり返ったトロッコが虚しく車輪を回していた。
「大丈夫か?みんな」
「ウェド?どこ?」
パールは傷だらけでトロッコの下敷きになっていた。
「大丈夫か!パール、今出してやる」
ウェドはパールの両手を引っ張ったが、出るのはパールの苦痛の声だけだった。
「わたしの事はいいから、タクトとフラットを」
「・・・わかった。二人を見つけたらすぐに出してやるからな!」
「・・・ん、ここは?」
タクトは後頭部を押さえながら立ち上がった。体中に怪我を負っている。
「やっと捕まえましたよ。タクトさん」
はっと振り返る。巨大な足の傀儡がいた。
「・・・傀儡」
「さぁ、もう終わらせましょう」
傀儡は足を元に戻すし、タクトの周りに地面から鎖を出した。
「ああ、賛成だ」
タクトは傀儡に向かって駆け出した。
「今度は同じようにいきませんよ」
タクトの前に鎖の壁を出現させた。
タクトは壁を斬った。だが、その先に傀儡の姿はなかった。
そして、タクトの二本の鎖がタクトの両足を捕えた。
「しまった!」
タクトの前に鎖でてきた円柱が現れ、中から傀儡がでてきた。
「お仕舞いですね」
冷たい笑みを浮かべた。