かずが私の名前を呼ぶ度に期待が増していく。かずがお風呂に入るというのでお湯を溜める。湯が張り終わったので、かずが「はいるぞー」と私を誘って来る。でも…まだ答えを聞いていない私は(一緒に入っちゃいけない)と自然と思い「家で入ってきたから、洗面所で顔を洗うだけで良いわ」と答える。かずは「えーなんでなん、一緒にはいろうやぁ〇〇」と言ってくるが、私は洗面所で洗顔をする。一足先に洗顔を終え、ふと、かずの携帯を目にする。
かずはお風呂に入ってる。少しだけ…私とかずの携帯はお揃いなので、操作は簡単だ。ロックもしてない。ちょっとだけ…ぱっとみた画面には「あはは、寝過ぎ(笑)話し合い終わったら連絡ちょうだいね〜」と書いてあった、私の胸の鼓動は早くなる。無心で、ざっと他のメールに目を通す。「彼女は全部を捨てて」「しっかり話し合いや」
とかが見えた。……なんだ。期待した私が…バカみたい。かずがお風呂から出てくるのを見計らって携帯を元に戻す。何事もなかったように過ごす。
二人とも歯磨きをして、ベッドに足を潜らせて背中を壁に預ける。
二人して無言。
かずが最初に無言を断ち切った。「寝て明日話す?それとも今から話す?」私は「かずは答えを見つけて大阪に帰ってきたと思うから、その答えを聞こうと思う。」と答えた。
無言。
「…別れようか」とかずは言った。
無言。私は真っ白だった。どんな反応をしたらいいかわからなかった。「〇〇!受け入れられるか?」……私はようやく「うん、だってかずが頑張って出した答えでしょ。受け入れるしかないよ。」目の焦点は合ってない。かずに揺さぶられる私。「こんな、こんな反応するなんて…!!ごめんな!ごめんな!」って放心状態の私にかずは泣きながら私を抱きしめている。(なんでかずが泣いてるんだろう、なんだこれば)私はしゃべれない。かずは謝りながら泣いている。なんだか、そんなかずが愛おしくて可哀相で、かずの涙を拭ってあげた。「かずが、友達に相談して一生懸命考えて決めた答えでしょ」と私は心の篭らない、口だけの返事と笑顔を作る。実感がまだない。バカだな、別れようって言われてるのに、まだこんなにも泣きじゃくってるかずが愛おしい。私の涙はいつ出るんだろ。平静を装ってかずに一つの質問をした。「かず、好きな人ができたの?」と。