「遅せぇぞ!」
優太は幸輔が来るのをずっと待っていたようだ。
「優太…すごいの見た。」「すごいの!?」
「鬼のような…武士。」
「武士?今の時代にいないだろ。」
教室が騒めく中、2人の会話だけ浮いていたような気がした。
「いたんだって!たぶん…機械だったと思う。」
「ロボットか?」
「1階にいるから。」
「それでは、今から行くが、準備大丈夫か。」
静まり返る教室。
「じゃあ、ついてこいよ。」
敦士さんは、地下通路で案内を始めた。
男たちは、前に10人、後ろに10人に分かれて、クラスメイトを守ることになった。
「あの武士…どこへ行ったのかな。」
幸輔は優太に話し掛ける。「1階にいたんだろ?」
みんなは階段を降りて、1階に来た。
あの鬼のような武士を見かけた辺り。
すると敦士さんは、何か気配を感じたのか、銃を構えた。
「ふせろ!」
生徒と香山先生はふせる。男たちは辺りを歩いて見回る。
すると、かすかに足音が聞こえてきた。
「ひぇっ、こわいよ。」
拓也は小声で幸輔にすがる。
幸輔は拓也をさすった。
「みんながいる。大丈夫。」
足音がだんだん大きくなる。
「あれだ…優太。」
「マジかよ…。」
とうとう姿を現した。敦士さんらが銃を構えながら言った。
「地下通路はこの先だ。逃げろ!」
「じゃ…みんな行くぞ!」香山先生にみんなはついていく。
幸輔も優太に引っ張られながら、何とか逃げた。
銃声が響く。
「キャー!」
女子の悲鳴。幸輔達は咄嗟に涼子を見る。
「私は…大丈夫。」
「分かった。」
優太はうなずいた。
サバイバル。命の保障は…ないかもしれない。