レダの話で俺はワンダを怒らせたみたいだ。俺が何故ココに寝かされているのかも判った。
ジプシー達が流浪の旅を続けている時に、大木の下で血まみれで横たわる俺を見付けたのがワンダだった。俺が息がある事で助けたらしい…三日三晩、彼女は一睡もしないで看病をして、熱が出ている俺の為に熱を下げようと、氷のように冷たい水で何度も布を晒し手を荒れさせていた事が判った。
「シュダ。貴方傭兵?」
レダが俺の身体に巻いてある包帯を新しい物に替えながら話し掛ける。
「傭兵…?俺は傭兵なのか?」
天井を見詰めながらポツンと呟く。そんな俺の姿に彼女は話続ける。
「貴方の格好、傭兵じゃないの?」
「そうなのか?俺が誰なのか判らないんだ…名前以外」
彼女は俺の答えに黙っている。包帯を新しいのに替えた後、俺の傍から離れて行き、暫く経ってから俺の所に現れた。
「薬よ、飲んで。解毒効果があるの」
寝たきりのまま、彼女は俺にゆっくり薬を飲ませてくれた。苦くて、吐きそうだ。薬を飲み終えて、彼女に向かって質問をする。
「解毒って?如何いう意味だ?」
暫く沈黙していた彼女は俺の質問に答える。
「実はね…貴方が運ばれてきた時にね、息がある事で傷の手当てを始めたの。でもね、傷口が少し変だったから調べたのよ。そうしたら毒の所為で、腐っている事が判って…その毒を無くす為に苦労したのよ」
「じゃあ、俺は死んでいても可笑しくなかったのか…」
彼女は小さく頷き、そして長老を呼びに行くと言って俺から離れて行った。
「身体が痛いのは…傷じゃなくて毒の所為なのか…」
独り言を呟く…グルグルと天井が回り始める。意識が遠のく…このまま、俺は死んでいくのか?そう思いながら深い眠りに陥った。