「またね!理央ちゃん!」
「またね!美保ちゃん!」
友達にわかれをつげ、通学路を走って行く私、葛城美保。小学5年生。
「早く帰らなきゃアニメがはじまっちゃう!!」
アニメを早く見たかった私は、十字路で、横を確認せずに、とびだしてしまった。横からくるトラック。
キキーッ!私は気を失って倒れた。
「あれ…ここどこ…あ!横からきたトラックに私…あれ?どこも怪我してない…なぁんだ。トラックがよけてくれたんだ。……アニメ!!」私はぺこっとトラックにお辞儀をして走っていった。体が風のように軽い。まるで浮いてるみたい。
「ただいまーっ!!」
リモコンでサッとテレビをつける。
「あー!!もうおわってる…あれ?そういえば…」
家に誰もいない。お兄ちゃんも。お母さんも。
「買い物かな?ま、いっか☆宿題やって寝よ!」
宿題は終わったものの、どうしても眠れず、結局その日は眠れずじまいだった。―――――――――翌朝。「おはようっ!」
返事は返ってこない。
「ねえ、どうしたのお兄ちゃん。」
返事はない。
「ねえ、お父さん!」
こちらも返事はない。
「お母さんっ!」
無反応。
「ねえ…なんでみんな無視するの?」
またも無視。
「…さっさと朝ご飯食べよ…」
そういってテーブルの方を見ると…
「あれ…私の朝ご飯がない…」
テーブルの上にあるのは3人分の朝ご飯。私のは…ない。
「ひどいよお母さんっ!!」
私はランドセルをもって泣きながら家をでた。
「ひどいみんな…あ!理央ちゃん…理央ちゃーん!!」
無反応。
「聞こえなかったのかな?」そう思って理央ちゃんのところまで走っていく。
「おはよう!理央ちゃん。」
「美保ちゃん…美保ちゃんっ…!」
理央ちゃんはうつむいて独り言のように私の名前を連呼している。
「理央ちゃん…?」
返事はない。ただ私の名前を泣きながら連呼するだけ。
「なんなんだろうみんな…」そうこうしているうちに学校についた。靴箱へ行き、上履きに履き替える間も何人かの人に話しかけるが、みんな無反応。教室の前の廊下に立ち、ガラララッと扉をあけておはようっ!と大きな声で言うが誰一人返事をしてくれない。自分の机にいくと、机の上に菊の花が置いてあった。