一角聖獣12

トリップ.Bank  2009-11-23投稿
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「君、誰?」
 僕は目の前の風変わりな少年に尋ねた。
「イーディン・ロー。ちょっと用があってね」
「用?僕に?」
「牧場主に」


「なるほど…町でサーカスをやる予定だが、ライオンのせいで泊まる宿が無くて困ってるのか」
 タナーおじさんは相手の用件をまとめた。
「そうです。ですからどうか…敷地の隅っこでも構いません。しばらくテントを張らして下さい!」
 サーカスの団長は頭を下げて言ったが、タナーおじさんは迷惑そうな顔をしただけだった。
 話合いは長引きそうだった。

 家の外には、サーカスの一団が待機していた。団員はほとんどが大人だったが、夫婦もいるのか、子供の姿がちらほら見えた。
 けれど、同年齢の子供はイーディン・ローしかいなかった。
「いきなり押しかけて、無理言っているからね…」
 隣でイーディン・ローが申し訳なさそうにしていた。
「大丈夫だよ。タナーおじさんは、根はいい人だから…」
 根拠は無かった。
 下働きの僕には、その場だけの慰めしか出来なかった。



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