「とーちゃくー」
ゆるーい和樹の言い方に
あたしは顔をあげた。
普通の公園やん。
あたしのマンションより
少し離れた
別のマンションの裏にある公園。
なんか寂しい感じで
誰もいない。
和樹は自転車を停めて
公園のベンチに迷わず座った。
「真央、」
和樹の隣の空いた席。
小学校の時、席替えの度に
密かに願ってた場所。
あたしは少し距離をあけて
そこに座った。
「空、きれいやな」
和樹は大きく伸びをして
空を見上げる。
あたしはその横顔を眺めていた。
「そう思わん?」
突然和樹が振り返ったので
あたしの心臓は
おかしくなりそうだった。
和樹の丸い目があたしの目を
まっすぐ見つめていた。
あたしは慌てて目を反らした。
「…なあ、うち…
和に聞きたいこと、
…いーっぱいあんねんけど」
「なに?」
「何じゃなくて…」
何から聞こう…
はやく聞かなきゃ
また和樹が居なくなるかもしれない
「…ごめん」
「え…?」
和樹はベンチにもたれかかり
やっぱり空を見上げてた。
「真央の聞きたいこと、
分かってるから。」