「……。」
放心状態の菜々。
「大丈夫ですか？」
気づけば、ナイフとフォークを拾ってくれていた。
「はい…」
「まさか…とは思いますが、好きな人って…。」
フリーターですか？…と聞きたかったのだろう。
菜々はゆっくり頷いた。
すると、お母様がやってきた。
「おはよう。」
「おはようございます。お母様。」
２人はちゃんと挨拶をする。
「お父様は？」
「既にお仕事に行かれました。」
「そう…。」
と言って、お母様もテレビを見た。
「菜々。この法案、私と総理で考えたの。」
「そうですか。」
表には出さなかったが、内心驚きと怒りでいっぱいだった。
「働かずに普通の人間みたいな生活を送っている人は、ちゃんと働く環境を整えてあげないとダメですから。」
「……。」
「菜々も、庶民の事は放っておいて、お金持ちの人と結婚するの。いい？そうしたら遠藤家の財産はますます強大になるわ。」
菜々は黙って食事を続けていたが…。
「ね？菜々さん。いいわね？」
「ふざけないで！」
「菜々様！」
すぐさま家政婦が駆け寄った。
「どうせ私の事…財産を大きくさせる駒としか見ていないんでしょ？」
「…菜々。あなたね…」
「私、お母様の駒じゃないから。」
[407] 
[0] 
[0]
