奈央と出会えたから。<404>

麻呂  2009-11-25投稿
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『何がおかしいのヨ、森宮サンよ?!』


京谷さんが、透かさず問い掛ける。



『いやぁ‥‥参った。参ったよ、君達には。

私も、ここは、ひとつ大人になろうじゃないか。

そもそも君達は一体、何が目的なのかね?!金か?!名誉か?!』



森宮の父親は、そう言いながら、



ゆっくりと立ち上がり、



今、ここにいる者、一人一人の顔を確かめる様に、



静かに視線を移動させた。



『俺達の心を突き動かしたのは、金や名誉じゃねぇよ。

ただ、真実を曲げようとする、汚ねェ大人のやり方に、

黙っちゃいられなかっただけヨ。

それだけが理由じゃ、納得いかねぇか?!森宮サンよ?!』




京谷さんの言葉に、


森宮の父親は、眉間にピクリとシワを寄せた。





『ば、ばかなっっ。
そんな、くだらない理由で‥‥私にこんな小細工を仕掛けるとは‥‥。

京谷クンに北岡クン。

私は、これから息子と2人で、

法の裁きを受けるコトになるのだろうか‥‥。』





一言一言、噛み締める様に発せられた森宮の父親の言葉に、


さっきまでの勢いは、全く感じられなくて――





『さっきも言っただろう。

テメェらをブタ箱に入れさせるつもりなら、

こんな回りくどいコトはしねぇよ。

聖人に感謝しろとな。』





そういい終わると、


京谷さんは、さげすんだ目つきで、



その男を見つめていた――



そして、



その男の足元にうずくまっている森宮に、



今度は聖人が、一言こう付け加えたんだ――





『まずは、テメェに心身共々、傷付けられた人間、一人一人に詫びるコトだ。

もちろんコイツにもな――』





あたしに視線を向け、



そう言ってくれた聖人――



森宮 ヒロキは、



あたしに向かって謝罪した――





『木下さん。

君に対して、侮辱する様なコト言ってゴメン‥‥。』





思いがけない森宮の言葉に――



複雑な心境で――



あたしは、



すぐに言葉が出て来なかった――



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