ねぇ…大好きなのに。

春樹  2009-11-25投稿
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そして、すごく長く感じた苦痛な時間は終わり、私は春樹と家に帰ってきた。

家に着いてから一時間。

私は、友達と電話をする事で怒りを抑えていた。

友達との電話が終わっても、収まらない私のイライラ。

二度目の限界だった。

私は春樹を、泣きながら殴り続けた。

春樹は、それでも私の気持ちを解ってはくれなかった。

「何がそんなに、気に入らないの?」

春樹は、私の腕を押さえながら聞いてきた。

私は自分でも、まだ自分の気持ちが解っていなかった。

だから、上手く伝えられない事も、私を苦しくさせていた。

それでも、春樹が大好きな気持ちは変わらなかった。

次の日私の手は、あざだらけになり、腫れていた。

春樹は笑っていた。

【ねぇ…春樹、気付いてよ。亜弥の心は、こんな傷より、もっと、もっと傷付いてるんだよ】

そう思いながら、手が腫れる程春樹を殴った事を反省した。

お盆休み。

「明日海行く?」

突然聞いてきた春樹。

「うん」

私が笑顔で答える。

その日は明日の仕度や、買い物をした。

夜になり、もうすぐ寝ようと思っていると、春樹の携帯に友達から着信が入った。

私はそれだけで、気持ちが落ちる。

「明日海行くけど、一緒に行く?」

春樹が電話越しに、そう言った。

また、私に怒りが込み上げてくる。

結局友達は、子供が小さいから行かないと、断った。

でも、私は春樹がその友達を誘った事が、許せなかった。

三度目の限界。

もう、春樹を傷付けないと決めていた。

だから、怒る自分を傷付けた。

春樹が寝たのを確認してから、私は自分の腕に、タバコのフィルターを丸めて置き、ライターで火を着けた。

一度では、収まらず同じ場所にもう一度フィルターを丸めて、火を着けた。

二度と消えなくなるのは、解っていた。

見つかったら、春樹に怒られる事も、解っていた。

それでも、その時の私にはそれしか怒りを抑える方法が見つからなかった。



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