――中学2年の冬、ギターに
夢中になってたあたしが
和樹の変化に気付いたのは
友人の一言だった
「最近、成瀬見いひんなあ」
成瀬は和樹の名字。
「そう?」
確かにあのギターの会話から
一言も和樹と交わしていない。
「学校も最近休みがちらしいし…
真央、仲良かってんから
なんか聞いてへんの?」
前なら仲が良いって
言い方だったのが
いつの間にか過去形に変わってる
友人の言葉がひっかかった。
「…うん、まあ」
クラスも変わったし
お互い忙しいだけや
そのうち何かのきっかけで
また話せるようになる
ずっとそう信じてた。
あたしはその日のうちに
和樹のクラスの友達を訪ねた。
「確かに最近あんまり
学校こーへんなあ
なんかいい噂聞かへんし…
悪いことでもしとんのちゃう?」
「悪いこと?」
「知らんの?
この前も煙草ばれて
呼び出し食らってたで?」
煙草なんてばれてないだけで
他にも吸ってるやつなんて
いっぱいいる。
別にそれを聞いて
和樹のイメージが変わったとか
ショックを受けたわけでもない。
あたしの知らないことが
どんどん増えていく。
そんな寂しさを感じた。